うつになった日 (夫ちゃんver)
その日は突然やってきた。
いつも通り身支度をしてさぁ行くかと思った瞬間
体が動かない。リビングから玄関に向かえない。
心臓が祭りのように騒ぎ立てて、頭が真っ白になった。この日、仕事に行けなかった。
〜数日前〜
この日の朝、僕ら夫婦はケンカをした。お互いに言いたいことが溜まっていたのだ。
奥さんは大きいお腹で仕事に加え、実父の入院による準備や手続きに追われ、加えて実父の飼い犬の世話、さらに僕が帰るまでの間の育児。ストレスが溜まるのは無理もない。
一方、僕も増えるだけ増えて終わりの見えない仕事に上司や同僚とのコミニュケーションも取れておらず、残業もその頃は5時間程と家に帰るのも基本的に遅く、平日は日付が変わる前くらいになっており、
必要になるからとフォークリフトの講習を2週間続けて土日の08:00〜17:00頃まで受けていたので身体的にも辛かったことも含め、ストレスを抱えていた。
ケンカをしてしまっては、時間も遅くなってしまうため僕は職場に休みの連絡をし、子供たちを保育園に送った。
それから奥さんと話し合い、直近での僕の育児や家事に対する意見を聞いた事で、酷く大変な思いをさせていたなと感じた僕はその場で直ぐに謝って次の日も休みを取って奥さんと気分転換をしに出かけようということになった。
久しぶりの奥さんとのデートは楽しいもので、奥さんの笑顔を見たのはいつぶりだろうかと胸に刺さるものを感じた。
奥さんの笑顔、子供たちの笑顔を見たいが為に仕事をしているつもりでいたが、いつの間にか仕事に重きを置いてしまっていたことに気づいたからだ。帰りは日付が変わる前。土日も講習で一日いない。これのどこが家族のためなのか、そう感じたとき何かがプツリと切れてこれからは残業も減らして仕事をしようと思った。
明くる日、仕事に向かうと心臓がドキドキと強く脈打ち、呼吸をするのも辛くなっていた。
僕は何か変だと近くのコンビニエンスストアに車を停め、エナジードリンクを買って気持ちを落ち着かせようと数分休んだ。
しかし心臓は落ち着いてくれなかった。
仕事中もあちこちミスがあるのではないかと気が気じゃなく全く手につかなかった。
結局その日は半日で職場を後にしたのだと思う。
僕の記憶の中では…だが。
〜冒頭に戻る〜
奥さんが心配そうにどうしたの?と聞いてくる。
確か返事もままならなかった気がする。仕事を休むかどうか聞かれ、このままでは仕事どころじゃないなと職場の連絡先を開いたがそこから先に指が動かない。電話も掛けられない。
それを見た奥さんが見かねて電話を代わりにかけてくれて、3日ほどお休みを取ってくれたのだ。
これが僕がうつと出会った最初の話です。